———glambというブランドを立ち上げたきっかけは何ですか?
古谷:すごくシンプルなんですが、服が好きだから・・・の一言に尽きますね。 伝えたいのは、僕の場合、すべての仕事の根本には、ライフスタイルの提案というものがあるんです。 ライフスタイルの提案なんていうとエゴに聞こえるかもしれませんが、そんなエゴの中から誰かが新しい好奇心を持ってくれて、 生活の幅が広がったら嬉しいですね。服や音楽はもちろん、インテリアや食事、美容やスポーツって、実は密接なつながりがあると思うんですよ。 服はバッチリ決めたけど、髪型や食事の作法はちょっと・・・というのはナンセンスだし、世界には、 楽しいことや美しいものがたくさんあるんだから、色々なことに興味を持って、生活の質を向上させられたら最高だと思うんです。 そんな中で、服というジャンルにおけるスタイル提案のひとつがglambなんです。
———洋服以外にもカフェを運営されていますが、アパレル業界と飲食業界との違いは何ですか?
古谷:カフェもライフスタイルの提案の一環なんです。 違いについてですが、もちろん、服ではなく飲み物や食事を提供するという点では全く違いますが、時間を楽しむという点では一緒だと思うんですよね。 glambを着ている自分が好きとか、ここのカフェで過ごす時間が好き、しいてはここにいる自分が好きっていう意味では同じこと。 もっと自分を好きになってもらいたいし、好きになる事で、素敵な時間を作ってもらいたいということが一番かな。 そういう意味では、飲食もアパレルも同じ感覚でやっています。 また、omni-cafeに関して言うならば、カフェを通して椅子やインテリアに興味を持ってもらいたいという思いもありましたね。 服が生地によって着心地が異なるように、誰もが目にしたことのある有名デザイナーの椅子も、張り生地によって座り心地も印象もまったく異なります。 イームズしか知らなかったお客さんがサーリネンに興味を持ってくれれば、やっぱり嬉しいし、スタイルの提案って意味では カフェって最高のスペースだと思うんです。
———これまでglambのデザイナーとして、一番楽しかった事、つらかった事は何ですか?
古谷:毎日が楽しいです。尊敬できる好きな仲間と仕事ができて、いろんな物を作り、それにシンパを感じてくれるお客さんがいる。 いろいろな意味で感謝です。つらかった事は、やっぱり自分たちが思ってるクオリティに商品が上がってこなかった時です。 手にとってもらった人の喜ぶ顔がデザイナーとしては嬉しい訳で、そういう意味で、作り直しをして納期が遅れたりする事も残念です。 納期には間に合わせたいけど、クオリティのいい物を提供したい。時にはその境界線が難しい所です。
———洋服をデザインする上でアイデアなどはどこから湧いてくるのですか?
古谷:多くの場合、普段の生活からアイデアが生まれます。例えば、自分が映画を見に行くならどんな格好で行きたい、 レストランに行くならばこんな服を着たい、自転車を乗る時はこう、海にいく時はこう。そんな生活の中から、 どんな服が欲しいかっていうのを考えています。生活スタイルが多様になれば、当然、興味の対象(=アイデア)も増えるわけで、 そうすることで基本軸がぶれないように、ひとつだけ「グランジ」というコンセプトを設けていますが、それ以外には特に決まりごとは設けていません。
———海外生活も長い古谷さんですが、独創的なグラフィックはそういった影響もありますか?
古谷:そのあたりは難しいところですが、多感な時期に海外で多くの経験を積めたので、なんらかの影響はあると思います。 銃を突きつけられたこともありますし、人種差別も当然受けました。それ以外の要素としては、実家がギャラリーなので、 人よりも多くの絵画を見てきた自負はありますね。子供の頃から、想像することが好きで、幼稚園には行かずに、絵画教室に通ってました(笑) アイデア的なことを言うならば、常識を疑い、あるべき場所を否定することで、新しいものが生まれてくると思っています。
———俳優やミュージシャン、タレントまで、驚くほど多種多様な人物が展示会に訪れますが、これほどまでにglambが支持される要因、成功の秘訣は何だと思いますか?
古谷:成功なんてまだまだですが、強いてあげるならば信じる事です。自分も信じてるし、自分の周りも信じてます。 そしていいスタッフに恵まれてるし、いいディーラーさんにも恵まれてる。友達にしろお客さんにしろ、 たくさんの人に恵まれてるっていうのが一番の理由だと思います。服作りに限らず、何でも信じる事だと思うんですよね。 どんなことでも、強く思ってそれをやり遂げるという意思をしっかり持つこと。あとは想像力と行動力。 この2つをバランスよく持つ事が成功への近道だと思います。 また、多くの人に支持していただいていることに関しては、ただただ感謝です。